暗闇の鎌【読みきり短編集】
「まったく……なによこれ」


少女が手渡したものをマジマジと確認すると、10センチくらいの棒状の物だった。


――ペンかしら?


ピンクと黒、二色で彩られたプラスチックの棒。黒く一センチ程の先端部分を試しに引き抜こうとしたが、予想と反してくるりと回った。


――ん、ペンじゃないみたい?


限界まで回し、そっと引き抜くとその物体は黒の液体で染まったマスカラだった。


「なぁーんだ! マスカラだったのね。ふんっ、まさかあの子……これで眼が大きくなるとでも?

――まさかね」
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