暗闇の鎌【読みきり短編集】
「な、なによ? ますます眼が変になったとでも? どーせ、へんてこですよーだ!」


いつものように茶化してくると思われる彼に先手を打った。それは心への防衛でもあった。


「え? なに言ってんの? 俺の為に綺麗にしてくれたんじゃないの……?

凄くいいじゃんそれ!」


――え、なんて言ったの翔太君! 今聞いたよね私?

マスカラの黒が滲んで変になったわけでもなく、お決まりのパターンで一重まぶたに溜め息を吹きかけるわけでもなく、見下すような流し目もせず、今綺麗って言ったの?

間違えない?


「なんだよ! 今まで俺に隠してたのぉー参るなぁ! 超いけてんじゃん! もう放さない! ほれ、ちゅー」
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