暗闇の鎌【読みきり短編集】
 オジイサンが次に取り出した物。それは先の尖ったメスだった。


「ひっひっひっ、これで感情線を長くするのじゃ」


逃げようとしたが遅かった。


立ち上がろうとすると、片方の手錠に引っ張られ、思うように動かなかった。もう片方の手錠の先には頑丈な円柱とぶつかり、ガチャガチャと音を立てていた。


「い、痛い! やめて」


右の手の平に沈むメス。小指の1センチ下から、人差し指の根元まで、ズブリと横に動かされる。血球が割れ、赤い線を作り上げた。


「いかん! 結婚線も全くない! これではお先真っ暗だ!」


「止めて! 離して! お願いだから! 離せよ! 離せって言ってんだろうジジイ!!!!」
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