暗闇の鎌【読みきり短編集】
目の前には、チェック柄のハンカチが現れた。
慌てて見上げると、傘を差したスーツ姿の男性が立っていた。
「良かったら傘にも入ってください。風邪を引いてしまいますよ」
にっこりと微笑む男性に、いつもならナンパ男は大嫌いと突っぱねるところだが、耳を疑う言葉を放った。
「マスカラで目の下が黒くなちゃってますね、これで拭いてください……垂れ目で可愛いですね! あっ、すみません余計なことを!
それ使ってください、それじゃあ!
あ、でも傘がないんだった、駅までご一緒しませんか? あっ、変な者じゃないですから!」
男性は私の片手にハンカチを握らせ、慌てふためいた。しどろもどろの口調がなぜか憎めなかった。その上、可愛いとまで言ってくれた。
そんな発想は今までなかった。この細い目が、垂れ目で可愛いなんて……。
慌てて見上げると、傘を差したスーツ姿の男性が立っていた。
「良かったら傘にも入ってください。風邪を引いてしまいますよ」
にっこりと微笑む男性に、いつもならナンパ男は大嫌いと突っぱねるところだが、耳を疑う言葉を放った。
「マスカラで目の下が黒くなちゃってますね、これで拭いてください……垂れ目で可愛いですね! あっ、すみません余計なことを!
それ使ってください、それじゃあ!
あ、でも傘がないんだった、駅までご一緒しませんか? あっ、変な者じゃないですから!」
男性は私の片手にハンカチを握らせ、慌てふためいた。しどろもどろの口調がなぜか憎めなかった。その上、可愛いとまで言ってくれた。
そんな発想は今までなかった。この細い目が、垂れ目で可愛いなんて……。