暗闇の鎌【読みきり短編集】
 驚いてみせて、嘘でしょうと心で呟いた。でも彼は真顔でまたコーヒーに口をつけた。


この人は本当のことを告げている。なんだか心が温かくなり、コーヒーで体が熱くなった。


そして、この不憫な巡り合わせで私達は頻繁に会い、元彼の存在は、いつしか消えていった。


来年は結婚の予定だ。


マスカラさん、魔法よ、ありがとう! 


違うか……マスカラはキッカケでしかなくって、魔法は言葉、心持ちなんだね――気付かせてくれて感謝!


外見だけじゃなく、中身も見てくれる彼を今度こそ大事にするね。

本当にありがとう! 

――グッバイ、恋するマスカラ。
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