暗闇の鎌【読みきり短編集】
「きゃあああ!!!! いったぁーい! 誰か! 誰か助けて!!!!」


オジイサンはニヤリと皺くちゃな笑顔を見せると、再び根元から一センチ下にメスを突き刺した。


ズブリ。肉と血が混ざる柔らかい音。金属で内部をかき回される。


「か、鑑定料お支払いしますから……お願いです解放してくださ……い」


なぜかこの道には人の気配が全く感じられない。声の届く相手がいそうもない。


「お願いです……放して……なぜこんなことをするのですか……」


痛さと絶望感に襲われ、涙が頬を伝う。


頭には、ふと、しつこかったはずの彼の顔が浮かんだ。
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