暗闇の鎌【読みきり短編集】
――バンッ!


手を掛けたのなら、一気に引っ張らねば男がすたると開けたものの、目の前の光景に唖然とした。


「うわあああ!!!! ……な、なんだ、なんだこれは!」


玄関から見えた情景、その空間には赤い絨毯が敷いており、近くには赤ちゃんをあやすためのガラガラが転がり、そしてそれに手を伸ばす猫の死骸が転がっていた。


猫は舌をだし、手をガラガラに向けていた。

目は見開き、今でも眼光を取り戻しそうだった。


はっと息を呑むように口を手で塞いでみたが、辺りには誰もいない様子だった。


一体俺が経験した出来事はなんだったのでしょう?

聞こえるはずもない音が下の部屋に警告したとでもいうのでしょうか?
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