暗闇の鎌【読みきり短編集】
 妻の戯言で電車を一本逃してしまった。


――いつもは気をつけていたはずなのに。チッ!


思わず舌打ちを放った。最寄の駅は20分に1本しかない辺鄙な所で、逃すと非常にまずい。


朝一の会議は9時からだ。それよりも前に席についているのが当然なのに、これじゃまた課長に嫌味を言われてしまうじゃないか!


しかしこうなった以上、時間を待つしか方法はない。次の電車に乗れば、ギリギリ飛び込みセーフというところだろう。


――次に来るのが8時40分頃かぁ……まだまだ時間があるなぁ。


そうだ駅構内に書店があったな。本でも買うか?


そう思い立つと早足で駅へと向かった。建物内に入り込むと、書店の看板を早速見つけた。


――今はどんな本が流行っているんだ? あ、これ……。
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