とある愛世Ⅲ
この人にとって、わたしは何だったのだろう。
この1年、何のためにどうして一緒にいたのだろう。
そんな疑問ばかりが広がって、涙は止まらない。

けれどそんなわたしの横、素直に別れを受け入れないわたしに対して、彼がしだいにイラついてくるのがわかった。


「……もう、いいでしょ?あんたが今何を言ったって僕の気持ちは変わらないんだから。言い合うだけ無駄だって。」


気持ちが変わらない、そんなことはわかってる。でも、それでも、このまま終わりにされるのはいや。あなたがいない生活なんて、考えられないの。


「そんなことない。だって、終わりにするのは嫌。」

「言い合ったって、あんたのこと嫌いになるだけだよ。嫌われたいの?」

「そんなわけないでしょ。」

「もう、そろそろ僕を自由にしてよ!」


明らかに変わった声色に、びくっと肩が揺れる。
だけど、何なの?自由にしてって、どういうことよ。


「散々自由にしてきたでしょ?何でそんな風に言うの?」


このカンケイ上、おおっぴらに2人で外を歩くことさえできなかった。目の前でされる電話もSkypeも、ずっと我慢してきた。それなのに……。
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