とある愛世Ⅲ
「もう、そういうのが嫌なんだって。わかんないの?」

「ちゃんと答えてくれないじゃない。そんなの、わかるわけない。」

「あんたに付き合わされるこっちの身にもなってよ。」


言葉を交わすたび、心が痛む。
そんな風に思いながらわたしと過ごしてきたのかと思うと、今までが全部否定されてるようにも思えて余計悲しくなった。

止まらない涙が幾筋も頬を流れるけれど。もう、彼はそれを気にしてもくれはしなかった。


「……とにかく、」


喧嘩のように飛び交う言葉を整理するように、一区切りつけた彼の声がやたら大きく耳に響く。静かに耳を傾ければ、彼はゆっくりと続けた。


「さっきも言った通り、あんたに何を言われても僕の気持ちは変わらないから。……もう、邪魔だからいらないよ。」


そう、今までのわたしの存在を否定するような一言を。
わたしの存在が、もう不要であるという現実を。

鋭い刃物で、心をえぐりとられたような気がした。
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