とある愛世Ⅱ
“どんなに頑張っても、あなたは僕の1番にはなれないんだよ。”

そう言われて始まったカンケイだった。
だけど、それでも良かったのだ。このカンケイが始まった当初は、彼だってわたしの1番ではなかったのだから。

でも、いつからだろう。

本命の彼女と彼が共に過ごすのも、話すことさえも、許せなく思えてきたのは……。


「もう、嫌だよ。こんなんなら、もう、彼女に全部言っちゃうから!」

「じゃあ言えばいいよ。あなたに嫌なことをされたり、あいつに嘘を吐くくらいなら、もう全部バレてしまった方がいい。」


きっかけは些細なケンカだった。本当に、よくあるような、そんな。それなのにわたしが最後に放ってしまったのはきっと、このカンケイにおいては口にしてはいけない言葉。絶対のタブー。

でも、それでも、もうバレてしまった方がいい。だなんて、それはわたしにはツラい言葉だった。わたしだって、色々我慢してきたよ。それなのに…。
しかも、今まで散々彼女に嘘を吐き続けてきたくせに、何を今さら…

溢れてきそうな涙を隠すために、わたしは部屋を飛び出した。
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