無力な僕らの世界と終わり




「ひよは、友達もいっぱいいるんでしょう?」


「え!全然!」


「うそ」


「本当だよ。
あたし、いじめられてたこともあるし」


「……いじめ?」


「うん。中学の時。
その時にかばってくれた子が、今は親友。
あとは……時々、話しをするクラスメイトが何人かいるだけ」


「……そうなんだ」


友達がいないのは、本当。
あたしにはいつも、のんがいればいい。
のんがいてくれれば、それで。

のんには友達がいっぱいいる。
のんが学校を休んだら、あたしは一人でお弁当を食べるけど。
のんは一緒に食べてくれる人なんかたくさんいると思う。


けど、それでいい。

あたしはのんを独り占めできるとは思っていないし。
のんの他に、親友が欲しいとも思わない。


「……羨ましい」


「え?」


「親友なんて、羨ましいな」


「……」


「私には、瑠樹亜しかいないから」






< 101 / 215 >

この作品をシェア

pagetop