無力な僕らの世界と終わり




……瑠樹亜しかいない。

その言葉は、ずしんとあたしの心にのしかかった。


そういえば、美山さんのことは学校でも時々見かたことがあるけど、友達と一緒にいるところは見たことがない。

いつも一人か、先生と一緒にいるところか。



「でも、美山さん、斉藤先生と仲がいいよね。
あたし、時々、見かけるよ」



あたしは何の気なしにそんなことを言ってしまったけど、斉藤先生の名前を出したとたんに美山さんの顔色が変わった。

タマゴサンドをつまんだ手も、口元で止まる。



「……あ、ごめ……
あたし、なんか……」


「ううん、別に」


そう言う美山さんは全然「別に」な顔じゃないけど、それ以上は突っ込まない。


F組の担任、斉藤先生は若い男の先生で、イケメンだから女子に人気がある。

先生に贔屓されて、迷惑してるのかな。
それをネタに嫌がらせを受けてるとか。
かわいいからって調子にのるな、的な。

よくある話だ。

女子のそういうところが、あたしもすごく苦手。






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