無力な僕らの世界と終わり




「……ひよらしいね」


親友はそんなことを言って笑うけど、それのどこが「あたしらしい」のかさっぱり分からない。


「放っておけないんでしょ?
美山さんのことが」



「……んーー……」



放っておけないって、そういうんでもない気がする。

分からないから知りたい。
それだけなんだ。

そんな言いたいことのもやもやをコーラで流し込んでいると。



「美山さん、色々言われて、みんなに避けられてるもんね」


目の前の情報通が、気になる発言をする。


「……いろいろ?」


「うーーん。
危ないアルバイトをしているとか。
斉藤先生を色仕掛けで誘ってるとか。
そういう類い」


斉藤先生を色仕掛けで……
ああ、やっぱり。

そういうこと、言われてるんだ。

儚げな、美山さんの笑顔を思い浮かべる。





< 109 / 215 >

この作品をシェア

pagetop