無力な僕らの世界と終わり
「私は詳しいこと、知らないけど。
そういうの、好きじゃないし。
だってさ、そんなの、ただの妬みじゃん?」
のんは露骨にしかめ面をする。
うん。
わかるよ、わかる。
どうして、人は。
痛いくらいに正直な人のことも。
ミステリアスで理解できない人のことも。
悪く言いたくなるのだろう。
のんのように、かわいい顔を持っていても、素直さと柔軟さを持ち合わせていなければ、きっと、美山さんみたいに悪く言われたりするんだ。
そうじゃなかったら、誰かに媚を売ったり、ペコペコしたりしなきゃならない。
適当に相づちを打って、笑って。
自分を殺していなきゃいけないんだ。
「なんか、嫌だよね。
でも、私たちは。
こんな世界でも、生きていかなきゃならないわけだし」
「……こんな世界」
「いじめとか、悪口とか。
そういうので埋まってる世界。
強いものが支配する世界。
弱いものが救われない世界」
「……そうだね、でも……」
うん、でも。
強いって何だろう。
弱いってどういうことだろう。
そんな……
ちょっと哲学的なことを考えてみたりする。
ぐるぐるぐるぐる。
近頃のあたしは、難しいことを考えることが多くなった。
なんだかちょっと、それも。
やっぱり瑠樹亜のせいかな。