無力な僕らの世界と終わり

いよいよ





課題テストが終わると、いよいよ修学旅行の準備も佳境に入る。

しおり係りの最後の仕事は、先生から配布された修学旅行用のプリントを、人数分に束ねることだ。



風も少し冷たくなり始めた9月。

あたしは教室に瑠樹亜と二人でいた。

他の班のプリントはもう出来上がっている。
ここ2日間、瑠樹亜が学校を休んでいたので、あたし達の仕事は遅れてしまっていた。



「瑠樹亜くん、風邪でもひいたの?」


あたしはプリントを1枚1枚畳みながら、となりにいる瑠樹亜の顔を見た。

相変わらず無表情に、文庫本を読んでいる。
その横顔は、ピクリとも動かない。

きれいな唇だな。
耳の形まで完璧。
どこからどう見ても、かっこいいなあ、なんて、そんなことを思う。


「別に」


「そっか」


瑠樹亜がいてもいなくても、結局仕事をするのはあたしだけなんだけど。
あたしは瑠樹亜を独り占めしたくて、登校してくるのを待っていた。

別に、なんて言われても嬉しい。
瑠樹亜の側は。
居心地がいいんだ。




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