無力な僕らの世界と終わり
………
思い出すと顔が赤くなってくる。
あたしは学校からの帰り道を、一人で自転車を押して歩いていた。
頭の中で、さっきまでの出来事を何回も何回も繰り返す。
プリントの束を作りながら瑠樹亜と話したこと。
瑠樹亜の目を見たこと。
瑠樹亜に好きだと言った。
成り行きだったけど、当たり前に本当の気持ちだった。
知りたいと思っていることも。
分かるように努力をすることも。
瑠樹亜は「あ、そう」とだけ言った。
言って、また文庫本を広げてしまった。
無言のままプリントを人数分束ねて。
ホチキスで留めて、ロッカーに保管して。
瑠樹亜に「じゃあ、また明日」って言った。
言ったら「ん」って返事が返ってきた。
それから、そうして……
あたしはこうして歩いている。
男の子に告白なんかしたのは初めてだ。
だって、この恋は。
あたしの遅すぎる初恋と言ってもいい。
完全なる片想いだけれど。
まさか自分から好きだなんて。
言うつもりなんかなかったのに、絶対に。
「……うわあああ……
どうしよう……」
今さらだけど。
めちゃくちゃ恥ずかしい。
あの瑠樹亜に。
あのかっこいい瑠樹亜に。
どさくさに紛れて好きだなんて告白してしまった。