無力な僕らの世界と終わり
嫌いにならないよ
「多分、色々、話すけど……
ひよ。
私のこと、嫌いにならないでね」
視線をあたしに戻した美山さんは。
すごく真剣な顔で。
化粧気のない白い肌が。
透き通ってしまいそう。
「嫌いにならないよ」
そう、ハッキリと言葉にする。
嫌いになんかならない。
あたしは、こんなに一生懸命に生きている女の子を。
嫌いになんかなれない。
顔を見ていれば分かるよ。
嘘が嫌いだし。
すごく、真面目。
自分を責めて。
他人を悪く言えない。
美山さんは、きっと。
そんな、女の子。
「瑠樹亜から、世界を終わらせる計画ことは、聞いてる?」
『世界を終わらせる』
バスで見た。
瑠樹亜の横顔。
「……うん。
でも、詳しくは知らない」
あれから、瑠樹亜とその話はしていない。