無力な僕らの世界と終わり




あたし達はしばらくの間黙って、ビスケットをかじっていた。

本当はあまり食べたくなんてなかったけど。
美山さんが口に入れたからあたしも何となくそうした。


甘い香りが口の中に広がってくる。

ボリボリ、と歯応えがあって。
案外、固い。



「あたしは具体的に、どうすればいいの?」


世界を壊すなんて、終わらせるなんて。
口では簡単に言ってみたって、本当はどうしたらいいのかわからない。

目標があやふやで。
想像することもできないし。

ましてや、自分がどうしたらいいのかなんて。
役には立ちたいけれど。
見当もつかない。



「修学旅行の最終日。
私と瑠樹亜はそのまま逃げ出そうと思ってる」


「……そのまま……」


「うん。
旅館から抜け出して。
駅まで走って電車に乗るつもり」


美山さんが微笑んだ。

電車に乗る。
乗って、どこへ行くんだろう。








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