無力な僕らの世界と終わり



……違う形。
自分で言って、ハッとする。

違う形って、何だろう。

あたしは瑠樹亜の何になりたいのだろうか。

彼女。
親友。
友達。

どれも言葉にすると違うような気がする。



「違う形?」


美山さんも目を丸くしている。


「……うん。
……何て言うか……

空気みたいになりたい。
瑠樹亜にとって。

いてもいなくても、よくわからないんだけど。
いるって意識したときに、すごく感謝したくなるような……
そんな、存在になりたい……」


そう。
空気みたいな。

気が付いたら近くにあって。
あって当たり前なんだけど意識もしていなくて。
思い出した時に、すごく幸せな気持ちになるような、そんな存在に。



「……本当に好きなんだね。
瑠樹亜のことが」


「……そうなのかな」


「うん、だって、それって……

ひよは、瑠樹亜の『幸せ』になりたいってことでしょ?」


瑠樹亜の『幸せ』

ああ、そんなこと。
考えたこともなかった。



「そんな風に誰かを想えるって、すごいことだよ」


美山さんが笑う。

その笑顔には、一点の曇りもない。





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