無力な僕らの世界と終わり
恋って
………
子供の頃に観た、 冒険映画を思い出していた。
宝物を見つけるために、主人公達が力を合わせて色々な試練に立ち向かっていくお話。
大きな岩が落ちてきたりだとか。
危険な吊り橋を渡らなきゃいけなかったりとか。
敵が現れたりだとか。
謎を解かなきゃいけなかったり、とか。
怪我をしたり。
何かを失ったり。
もうダメだって泣いたり。
できたって言って笑ったりして。
そしてやっと、見つけることができるんだ。
たった一つの。
輝く宝物を。
恋って何だか、それに似ているような気がするな……
なんて、思ったりしてみている。
あたしの恋は片想いで。
まだまだ辛いことばっかりで。
光なんか全然見えていないけれど。
遠くから見ているだけだった瑠樹亜に少しずつ近付いて。
電話番号まで交換して。
(一方的にしかかかってこないけど)
ほんの少しだけ。
本心も見せてくれる。
優しさも。
本当に、本当に少しだけだけど。
……けど。
あたしの宝物はすごくすごく、果てしなく、遠い。
色んな困難を、掻き分けて掻き分けて。
一心不乱に突き進んでいかなきゃいけない。
それどろか、宝物が何なのかも、本当はよく分かっていないんだ。
その実体はあやふやで。
輝いているかどうかも分からないけれど。
あたしはそれを……
自分の力で手に入れたいって、思ってる。