無力な僕らの世界と終わり
「お前らマジでイチャイチャすんなって!
これからずっと一緒とか、マジ勘弁!」
そう言って向井とのんを茶化すのは、向井の親友、山本。
山本は背が高くてバスケ部でもスタメンだから、結構女の子にも人気がある。
だけどなぜか、彼女はいない。
彼に告白してフラれた女の子の話はよく聞くのに。
噂では、中学でつき合ってた彼女が忘れられないとか、なんとか。
「おーい、じゃあ、1班からバス乗るぞー。
班長、いいかあ?」
担任の山下先生の合図で、みんなバスに乗り込む。
バラバラだけど何となくまとまってるような気もする、あたし達の班は6班だ。
最後から、2番目。
「二谷、俺ら、一緒に座ろうぜ」
そう山本に誘われて、あたしは山本と隣同士で座った。
必然的に、向井とのん。
瑠樹亜と弓子さん。
本当は瑠樹亜と一緒がよかったけど。
山本は弓子さんも瑠樹亜も、苦手なんだと思う。
こうなると、新幹線もその後のバスも。
あたしの隣は瑠樹亜じゃなくて山本になるんだろう。
山本のこと嫌いじゃないし、むしろ明るいから一緒にいて和むけど。
やっぱり、瑠樹亜がよかったな。