無力な僕らの世界と終わり
新幹線が駅に到着して。
班ごとに迎えに来ているマイクロバスに乗り込む。
東北の秋は思ったよりも寒くて。
風の冷たさに身が震えた。
見上げると、空がすごく高い。
まだ9月が終わりかけてるだけなのに、冬が近づいてるみたい。
あたし達は班ごとに、町内の農家さんにお世話になる。
ウチの班がお世話になることになっているのは、昔から米農家を営んでいる木村さん。
木村さんのお宅がある集落は米農家が多い。
ウチの班以外にも、数件のお宅でいくつかの班がお世話になる。
偶然、美山さんがいる班もご近所さんだ。
マイクロバスには、ウチの班と、もう一班、それから美山さんの班も一緒に乗り込む予定だ。
先に乗り込んだB組の6班のあたし達。
ざわざわと、その後に続いてC組の班とF組の班が乗り込んでくる。
……明らかに、班からも浮いてる美山さん。
担任の斉藤先生が最後まで付き添っていた。
そらからは、一人ポツンと入ってくる。
けれど、あたしの姿を見付けると、美山さんの表情はパッと明るくなった。
「おはよう」
「おはよう」
それから控えめに挨拶をする。
あたしも、美山さんの顔を見ると何だか安心するような気がした。
いつの間にか、あたしと美山さんは友達になれたんだなあ、と実感した瞬間。
ふと。
新幹線での謎めいた行動を思い出して、隣に座る山本に視線をやると、顔を真っ赤にしていた。
耳まで真っ赤だ。
「ぶっ、山本」
「なんだよ!」
「だって」
「うるせ!」
あたしが思わず笑うと、山本は益々顔を赤くした。
なんだ。
そういうことか。
さっきはあんなに堂々としてたくせに。
本人を目の前にしてポーッとしてる。
そんな山本が、微笑ましい。