無力な僕らの世界と終わり
あたしの勘は、正しかった。
瑠樹亜はやっぱり、屋上にいた。
5月の風はまだ、少し冷たいけれど。
今日もめちゃくちゃに青い空が、広がっている。
瑠樹亜は前と同じ場所に座っていた。
二年生になってから、瑠樹亜が授業をサボるのは初めてのことだ。
(あたしだってもちろん)
瑠樹亜の視線の届かないところに隠れる。
じっと、(いつものように)瑠樹亜を見つめる。
ああ、これじゃあまるで、いい加減、ストーカーみたいだ。
あたしがそう、ため息をつくと。
「ストーカー?」
突くような強い声がして、あたしは「ひっ」と声が出るほどビックリした。
(実際、声に出ていたかも)
瑠樹亜のキレイな顔が、こっちを見ている。
無理に首をかしげているから、変な体勢だ。
「あ、あ、あの」
「なんか、用?」
どもる女子に、美男子は容赦ない。
「えーっと……」
だめだ。
緊張して冷や汗が出てきた。