無力な僕らの世界と終わり
神様に感謝
「こんにちは!」
「こんにちはあ」
マイクロバスが停まると、それぞれのお宅から一人ずつ迎えに来てくれていた。
木村さんのところからは、気の良さそうな背の小さいお爺さん。
薄汚れたキャップを被って、ニコニコしている。
バスを降りて、お爺さんを先頭に少し歩いてから、あたし達は木村さんのお宅に着いた。
大きな平屋のお家。
全体に茶色い色をしていて、普段目にする住宅とは全く違う印象。
寒さも暑さも、堪え忍んできた年期の入った建物、という感じ。
玄関に入ると、色んなものがぶら下がっている。
茶色くカサカサに乾いた木や葉っぱ。
それに、大きな丸い土の塊のようなもの。
「これはね、蜂の巣なんだよ」
奥の部屋から出迎えてくれた木村さんのお婆さんが、そう教えてくれた。
すごーい、とみんなでその丸いボールのようなものを見上げる。
うねうねした、不思議な模様があった。
しわくちゃの、腰の曲がったお婆さん。
そんなあたし達を見て、お婆さんもニコニコしている。
「あらあら、よく来てくれたねえ」
そう言って顔を出したのは、お婆さんより少し若いくらいのおばさん。
お嫁さんなのかもしれない。
肌が白くて、ほっぺがほんのり赤い。
どの人も、みんな、すごくいい顔をしてる。