無力な僕らの世界と終わり
「そろそろ、お昼にするかあ?」
座り込んだあたし達に気を使って、お爺ちゃんが声を上げる。
そこへちょうど、お婆さんが風呂先を持って現れた。
「休憩しなさいー、疲れたでしょうー」
お婆ちゃんがそう言って風呂敷をあけると、そこにはたくさんのおにぎり。
お茶と一緒に、ラップにくるまった、美味しそうなおにぎりが配られてくる。
くんくんくん。
おにぎりの匂いと、瑠樹亜の汗の匂い。
いつも瑠樹亜から香ってくるいい香りじゃなくて。
瑠樹亜そのものの、生の匂い。
秋の風に乗って。
あたしの鼻をくすぐる。
みんな、何か変な気を使ったのか、あたし達よりも遠く離れた所に座っていた。
木村のお爺ちゃんを囲んで、何かおしゃべりをしてるみたい。
みんなのことも気になったけど、あたしほやっぱり瑠樹亜の隣が心地いい。
沈黙も、嫌じゃない。