無力な僕らの世界と終わり
食事が済んだらお風呂の時間。
入る順番はすでに決めてあった。
弓子さん。
あたし。
のん。
瑠樹亜。
山本。
向井……の順。
しおりにも、ちゃんと書いてある。
弓子さんが上がってきたので、あたしはタオルと着替えを持って部屋を出た。
襖を閉めて沈黙を遮ると、ホッとする。
お風呂場はキッチン奥の突き当たりで、おばさん達に挨拶をしてから入った。
カラカラカラ、と鳴るガラス戸。
ピカピカの丸いタイル。
古いお浴槽。
カビとりハイターのにおいがする。
適当に頭と体を洗い、丁寧に洗顔してから湯船に入った。
このお風呂に瑠樹亜も入るのかと思うと、なんだか意味もなく緊張する。
「ひよ、入ってい?」
お風呂に入るとすぐに、脱衣場からのんの声がした。
「ん、いいよ」
一人でぼんやりしていると、泣いてしまいそうだったから、のんが来てくれてすごく嬉しかった。
一緒にお風呂に入るのも、高一の時に家に泊まりに来て以来だから、随分久しぶり。
「この方が、効率いいよね」
フェイスタオルで大きいおっぱいを隠しながら、のんがお風呂に入ってくる。
それからそう言って笑うけど。
本当ははあたしに気を使って来てくれたのかもしれない。
それともやっぱり。
あそこは居心地が悪かったかな。