無力な僕らの世界と終わり
自由時間
瑠樹亜とチョコレートの余韻にひたりながら、あたしはいつもよりほんの少し短い眠りに就いた。
目覚めはスッキリ。
相当体が疲れていたからか、ぐっすり眠ることができた。
「はよ!」
「よ!」
着替えてから襖を開けると、山本と向井の元気な笑顔と、威勢のいい声が飛んでくる。
「おはよ、よく眠れたみたいだね」
そう言うのんも、機嫌がいい。
相変わらず瑠樹亜は無言のままだけど、不快そうではなかった。
よく、眠れたのかな。
あれからいつまで起きてたのかな。
色々気になったけど、話しかけるタイミングもない。
布団を片付け、丸テーブルでおばさん達が用意してくれた朝食を食べる。
あじのひらき。
白いご飯。
豆腐の味噌汁。
たまごやき。
ザ、日本の朝ごはん、な、メニュー。
「うんめー!」
「もう! 山本、汚い!
食べなから叫ばないでよ」
昨日の夕食とは違って、みんなワイワイ楽しそうだ。
きっと、昨日のイライラは眠ることで浄化されたに違いない。
改めて、眠ることの大切さを知る。
食事が終わると一休みしてまた田んぼへ出ることになっていた。
脱穀の体験をして、昼食を食べ、それからは自由行動の時間。
あたし達の班は、河原で遊ぶ予定を立てている。