無力な僕らの世界と終わり
「いらないなら、いいけど」
「い、い、い、いりますいります!!」
セリフも少しかぶせぎみで、チョコレートにがっつく女。
完全に引いてるかな、大丈夫かな。
ちらりと表情を盗み見ても、瑠樹亜は筋肉一つ、動かさない。
ああ。
隣に座ってもいいのかな。
勇気出して付いてきてよかったな。
「なにニヤニヤしてんの? キモいけど」
ああ、うん。
キモいよね。
でも、嬉しい。
「へへ……」
あたしって、もしかしたらマゾなのかなあ。
瑠樹亜の隣に座ると、すごくいい匂いがした。
風に乗ってそれは。
あたしの鼻孔を心地よくくすぐる。
何の匂いかな。
香水かな。
瑠樹亜っぽいな。