無力な僕らの世界と終わり
半分に割られたチョコレート。
二人で一つの物を分け合うなんて。
「お前、名前、なんだっけ」
うん、例え。
相手の男の子が自分の名前すら知らなくても。
「にたに、ひより」
「ふーん」
そう、例え、あたしに、興味がなさそうでも。
「僕、今から本読むから。話しかけないで。食ったらあっち行って?」
むしろ、ちょっと邪魔扱いされても。
「わかった」
嬉しい。
瑠樹亜が、あたしに話しかけてくれる。
「なにが?」
「へ?」
「なにが嬉しいの?」
あ。
嬉しいって、声に出ちゃってたかな。
「変な女」
ええ、はい。
変な女ですとも。
瑠樹亜にもらったチョコレートは、格別に甘い味がした。