無力な僕らの世界と終わり
聞いちゃった
続いてコンビニの袋から、一冊の本を取り出した瑠樹亜。
ちょっとドキドキしながら、その手もとを覗き込んでみる。
あ、マンガとかじゃないんだ。
細かい文字が、びっしり並んでいる。
文庫本かな。
なに読んでるんだろう?
小説?
エッセイ?
もしや経済学とか、なんか、そういうの?
「そんなに見られると、読みにくいんだけど。食べ終わったら、あっち行ってよ」
本の上から目を離さずに、瑠樹亜は不機嫌そうだ。
「まだ、食べてるし……」
そんなこともあろうかと、チビチビとチョコレートを食べていたあたし。
少しでも長く、瑠樹亜の隣(ここ)にいたくて。
少しずつ、少しずつ。
甘いチョコレートを舌の上で溶かしていく。
ああ、幸せ。
あたし、鼻の下伸びてるかも。
「マジで変な女……」
うんざりしている瑠樹亜の声。
ため息つかれても、幸せ。