無力な僕らの世界と終わり
……
…………
……
『ねえ、ひよ』
『ん?』
『なんで生まれてきたのかって、考えたことある?』
『ええ?
うーん……ない、かな。
美山さんは?』
『私はいつも、考えてる』
『そうなんだ。
それで?
何で生まれてきたって、思うの?』
『まだ……分からない。
でも……』
『うん?』
『答えがないのが、答えなのかも』
『あはは、何それ。
哲学的だね』
『……そうかな』
『そだよ』
『普通のことだよ』
『……普通?』
『答えの出ないことが……
本当に沢山あるから』
『まあ……それは、そだね』
『……私、何で生まれてきたんだろう』
『……うん。
何でだろうね?』
『私は、ひよに生まれたかったな』
『ええ?』
『私は私じゃなくて。
ひよに生まれたかった』