無力な僕らの世界と終わり
あたし達は、最寄りの大きな病院に運ばれた。
瑠樹亜はMRIに入り、美山さんはすぐに処置室へと入った。
あたしはそこで初めて、自分がパジャマで出てきてしまったことと、携帯を置いてきてしまったことを思い出した。
けれどももう、それもどうでもよかった。
だれかが心配するとか。
風邪をひくかもしれないとか。
修学旅行がメチャクチャだとか。
時々ぽんと浮かんたけれど、次の瞬間にはもうどうでもよかった。
そんなことを繰り返しながら。
あたしは簡単に傷の手当てをしてもらいながら、二人を待った。
誰が呼んだのか、警察も来た。
事情を色々聞かれたけれど。
ほとんどの質問に、よくわからない、と答えた。
包帯で頭をぐるぐる巻きにした瑠樹亜が待合室に出てきたのは。
いったいどれくらい経ってからだろう。
瑠樹亜は黙って、あたしより少し離れたベンチに座った。
「大丈夫?」
とあたしが聞くと、
「大丈夫だろ」
と素っ気ない返事が返ってきた。
「……よかった……」
絞り出すような声が出た。
瑠樹亜の声が、あたしの涙腺を刺激したのんがもしれない。
「瑠樹亜が無事でよかった……
美山さんも……きっと……」
「大丈夫だ」
いつもは冷たいと感じていた瑠樹亜のつっけんどんな言い草が。
何だかすごく……
頼もしかった。