無力な僕らの世界と終わり
のんの言うように。
本当にあたししかできなかったことなのか。
誰にでも、できたことなのか。
今となっては、よく分からない。
自分のしたことが、正しかったのか間違っていたのかなんて。
考えたって何も答えなんか出ない。
ただ、あたしは。
痛いくらい真っ直ぐな瑠樹亜に。
少しでも近付きたかっただけで。
その姿勢を、見習いたかっただけで。
追いかけて。
追いかけてたら、こうなってたってだけで。
目の前のことでいっぱいいっぱいになってたって……
ただ。
それだけなんだ。
………
屋上は寒くて、のんのフリースを肩から羽織った。
瑠樹亜がいつも座っていた場所に座る。
そうして袋からチョコレートを取り出した。
この場所から見る風景。
遠くの方に霞む山。
灰色の街並み。
何でもない景色だけど。
瑠樹亜が見ていたというだけで、あたしには特別。
瑠樹亜の横顔を思い出しながら。
チョコレートの箱をガサガサと開けていると、
「先客がいたか」
突然降ってきた声に。
あたしは驚いて、顔を上げた。