無力な僕らの世界と終わり
瑠樹亜のウワサ
「ひよはさあ、彼氏とか、いらないの?」
放課後のマック。
親友の、のん、こと、金原のぞみが、ポテトを頬張りながらあたしの顔を見る。
のんは桜色のグロスがよく似合う、いわゆるカワイイ系の女の子だ。
ぱっちり二重に、長い睫毛。
瞬きをすれば、バサバサッと音がするのではないかと思うくらいに。
これが自前だと言うのだから、驚きだ。
「いらないなんて、言ってないし」
ズズズズッと、残り少なくなったコーラを一気に飲み干すと、もうほとんどが水だった。
思わず、うえ、っと、声が出る。
「いや、もう、そういう行動がさ、男を遠ざけてるし。
今のは、彼氏が欲しい女が出す声じゃないでしょ」
すかさず、のんのチェックが入る。
「たまには、ひよの恋バナ、聞いてみたいもんだわ」
そう言ってまたポテトを頬張るのんは、最近、進学校で有名な男子校の彼氏と別れたばかりだ。
次の彼氏は、先週告白してきた特進科の潮田君か、一昨日告白してきたA組の前山君か。
のんは現在、それで悩んでいるらしい。
なんと、まあ。
羨ましいことで。