無力な僕らの世界と終わり
案外すぐに来たバスに乗って、あたしは一人、悶々としながら帰路につく。
小さな一軒家。
玄関のドアを開けると、パートから帰ったらしいお母さんが、ソファーに座って弁当を食べていた。
お昼と言えばこれという定番の、テレビ番組を見ている。
「ただいまー」
「あら、やだ。どうしたの? あんたの分の弁当、ないわよ」
ボサボサに伸びきった長い髪を、地味なヘアピンでまとめて。
珍しく娘が早退してきたというのに、弁当の心配をする母親。
ああ。
瑠樹亜のお母さんとは大違いだわ。
悲しくなってくる。
「いらないよ。食パンでも食べるし」
「あ、そう。牛乳、買ってあるからね」
どうせ賞味期限ギリギリの半額になったヤツでしょう。
そう思いながら冷蔵庫を開けると、案の定、そこには半額シールのついた牛乳パックが2本。