無力な僕らの世界と終わり
だけど、泣かなかった。
あたしには、家族がいたから。
小さいマイホームはいつも明るかった。
ぐうたらだけど、しっかりもののお母さん。
おっとりして、マイペースなお父さん。
やかましい太陽。
元気がないあたしを心配して、お母さんが何でもないことのように、こう言ったことがある。
「日和。学校なんて、どうしても行きたくなかったら、行かなくたって、いいのよ」
その言葉は、本当に心強かった。
信じてもらってるんだと思った。
学校は嫌だったけど。
でも休まなかった。
休んだら負けだと思った。
消されてたまるもんですか。
あたしはしぶとく、クラスに居続けた。
それはもう、意地だった。
意地っ張りはお母さん譲り。
無駄なプライドを持たないのはお父さんの教え。
けれど、自信は持つ。
あたしはあたし。
二谷日和は、そんなに簡単には居なくなりませんよー。
それでもやっぱり、辛かった。
苦しかった。
何度も泣きそうになった。