無力な僕らの世界と終わり

のんの恋バナ







日曜日。
あたしはバッサリと髪を切った。



「うん、似合う似合う!」


毛先を揃え、トリートメントしてもらったのんは、艶々な髪を揺らして、サッパリしたあたしを誉めてくれた。


「これなら瑠樹亜もドキッとしちゃうよ!」


「そうかな……」


むしろあたしが瑠樹亜という言葉にドキッとするわ。




鏡に映った新しい自分は、案外悪くなかった。

背が小さいし、そのわりに少しぽっちゃりしているから、髪は短い方が確かにバランスはいい。

耳が見えるから、何となく活発そうに見えるし。

爽やかと言えば爽やか、かもしれないな。



けれど、イメチェンしたあたしよりも、毛先を揃えただけののんの方が、当たり前だけどずっと目を引く。

どうしたらこんなにキラキラオーラが出てくるのだろうか。


学校では禁止されているアイラインとマスカラが、さらにのんの大きな目を引き立てている。
















< 48 / 215 >

この作品をシェア

pagetop