無力な僕らの世界と終わり
のんの恋バナ
日曜日。
あたしはバッサリと髪を切った。
「うん、似合う似合う!」
毛先を揃え、トリートメントしてもらったのんは、艶々な髪を揺らして、サッパリしたあたしを誉めてくれた。
「これなら瑠樹亜もドキッとしちゃうよ!」
「そうかな……」
むしろあたしが瑠樹亜という言葉にドキッとするわ。
鏡に映った新しい自分は、案外悪くなかった。
背が小さいし、そのわりに少しぽっちゃりしているから、髪は短い方が確かにバランスはいい。
耳が見えるから、何となく活発そうに見えるし。
爽やかと言えば爽やか、かもしれないな。
けれど、イメチェンしたあたしよりも、毛先を揃えただけののんの方が、当たり前だけどずっと目を引く。
どうしたらこんなにキラキラオーラが出てくるのだろうか。
学校では禁止されているアイラインとマスカラが、さらにのんの大きな目を引き立てている。