無力な僕らの世界と終わり
のんがクラスメイトと付き合う。
これはまさに、『そんなに驚くこと』なのだ。
うちの学校は、特進科が1組と2組の2クラス。
それから、実質的に準特進科のA組。
普通のB組~F組に分けられている。
のんの歴代の彼氏は、特進科に一人、他校の進学校に一人。
それから。
中学時代は、実習で来ていた大学生と禁断の恋をしていた。
あたしは何となく、のんはIQで男を選んでいるんじゃないかと思っていた。
のんの元カレはみながみな、いかにもガリ勉なタイプだったから。
「いや、だって、向井って、バスケ部で、まあ一応スタメンだけど、勉強はできないし」
「うん、あたしより成績悪い」
「しかも、なんかチャラいってゆうか、マジメじゃないってゆうか」
「それがああ見えてけっこうかわいいよ。真っ赤な顔で告白してきた」
ああ。
真っ赤な顔ね。
想像はつく。
ちょっと純真ていうか。
カッコつけて悪ぶってるけど、実はそうでもない、みたいな。
「うえええええ、でも、意外!! びっくりした!!」
「あんたの瑠樹亜にも、わたしはびっくりしたけどね」
あ、うん。
瑠樹亜ね。
やめて、その名前は。
顔が赤くなる。