無力な僕らの世界と終わり
「まあ、確かに。向井は今までにはないタイプだよね」
はああ、と、あたしはわざとらしくため息をつく。
そうして、日に焼けた、イヌコロのような向井の顔を思い浮かべる。
まあ、背も高いし。
ガッチリしてるし。
タレ目がかわいいし。
のんに釣り合わないこともないかな。
「応援してよー! わたし、けっこうマジで向井のこと、いいなって思ってるからさ」
クレープを頬張りながら、照れるのん。
かわいいな。
応援?
するに決まってるじゃん。
「わたしも、ひよの恋、協力するからさ」
「あ――……ははは」
のんとあたしでは、笑うしかないくらい、違いすぎるけどね。
「瑠樹亜作戦、考えようよ!」
のんがウキウキしているから、何だかあたしも嬉しくなる。
恋っていいな。
あたしも誰かと……
できれば瑠樹亜と。
ウキウキする恋愛、してみたいな。