無力な僕らの世界と終わり
担任の山下先生の、ゴツゴツした手元を覗くと、1、2、3、4、5……確かに、一枚足りない。
「あ」
思い出した。
瑠樹亜が持ってるんだった。
地図の写真を張り付けるとか何とか言ってて。
ネットで検索してプリントアウトしてなんちゃらかんちゃら。
「多分、相田くんが持ってます……」
「相田か。今日はご両親の都合とかで、休みだったからな」
「じゃあさ、ひよ、今から瑠樹亜んち、行ってみたら?」
「は!?」
「ねえ、先生?
今日が締め切りだもんね?
わたしも、悪いけど、今日くらいしか付き合えないし」
「いやいや、でも。あたし、瑠樹亜のウチ、知らないし」
「ああ、相田の家なら、あの辺りでは有名だからな。
でかいし、すぐわかるだろうけど
取りに行くか? 二谷」
「いやいやいやいや」
「行ってきなよーー」
ニヤニヤ顔の、のん。
そりゃあ、瑠樹亜の家……
気になるけど。
「あの辺りなら、自転車で10分くらいだ。
地図書いてやるか? 道もわかりやすい」
山下先生も何故か乗り気で。
あたしは瑠樹亜の家に、足りない原稿を取りに行くことになった。
(本音は嬉しいけど)