無力な僕らの世界と終わり
ラインでやり取りをしてから。
しばらくして、のんが家に来てくれた。
山下先生にも、事情を説明してくれたらしく、しおり作成は先伸ばしに。
「テスト期間中になっちゃうけど、ひよと瑠樹亜なら大丈夫でしょ?
また二人で放課後に残ればいいよーー」
のんはそう言って冷やかすけど。
あたしは苦笑いで返すしかなかった。
困ったな。
どんな顔して瑠樹亜と顔を合わせればいいのか、わからないよ。
瑠樹亜のことを考えると。
あの時のオペラが流れてきて。
翻るレースのカーテン。
テーブルの上の高級そうなティーセット。
瑠樹亜の顔と。
白い太ももと。
軋むチョコレート色のソファー。
耳に響くイタリア語。
あっち、いけ。
そう言った瑠樹亜の唇。
あああ。
あああああ。