無力な僕らの世界と終わり
気晴らしに街に出ようかな。
テストの結果なんて、どうだっていいや。
「ちょっと! 聞いてるの?」
「ごめんごめん、ちゃんと聞いてるよ」
のんはどうやら、向井とはうまくいっているらしい。
ああだこうだ言ってるけど。
のんの言葉には、向井に対する愛情がちゃんと込められているし。
まったく、羨ましい限り。
あたしの恋は想像以上にフクザツで。
少し近付けたと思ったら、一気に突き放されてしまう。
幸せだったしおり係が、今では専ら悩みの種だ。
『あっち、いけ』
あの言葉には、きっと、うんとうんと高い壁がある。
冷静になればなるほど、あの時の光景が目に浮かんできて。
けれどもやっぱり。
全然、理解できない。