無力な僕らの世界と終わり





歩きやすいようにスニーカーを履いてきた。


デニムにTシャツ。
オシャレ感、ゼロ。
(のんに会ったらダメ出し確実)

なんかもう、誰に見られるとかそういうのもどうでもよくて。



とにかくこのモヤモヤを晴らしたくて。
天気もいいし。
(屋根の下だからあんまり関係ないけど)

モールの中をブラブラと歩いた。




忘れたい。
忘れたい。

あたしが見てしまったこと。




……ああ。
それなのに。



お昼時。

たこ焼きを買おうとチェーン店の前に並んでいる時。


こともあろうにあたしは。

何百人という人混みの中から、瑠樹亜の姿を見付けてしまったのです。





「あ」


「……あ」


「あ、こんにちは」



しかも、隣には。
あの、美山さんが立っていたのでした。



パクパクパク。
開いた口が塞がらないとは、まさにこのことだわ。





< 77 / 215 >

この作品をシェア

pagetop