無力な僕らの世界と終わり
数分後。
無事に三人分のたこ焼きをゲットしたあたしは、うろうろと人混みの中を見渡して。
あたしを悩ませている美男美女を探し回るわけです。
こっち、こっち、と。
華奢な腕を振り上げる美山さんは、よく見ると綺麗なレースのピンク色のワンピース姿で。
白いヒールが、まるで雑誌の中から出てきたみたいに、完璧で。
あたしは何だか、クラクラめまいがしてしまう。
だいたい、何なの。
この、できすぎた偶然は。
「ここ、よく、来るの?」
たこ焼きをフーフーしながらそうあたしに話しかけてきたのは、もちろん美山さんの方で。
「いや、あ、あ、あんまり」
相変わらずどもるあたしは、適当な返事をしてから瑠樹亜の顔を盗み見る。
……綺麗な顔。
青みがかった白いシャツが、恐ろしくよく似合う。
たこ焼きを頬張る仕草でさえ、美男子。
芸能人になれるんじゃないだろうか。
あたしなら、真っ先にスカウトするけどなーとか、よくわからないところに思考が飛んで行く。
「私と瑠樹亜は、よく来るんだ。
あんまり、ウチの学校の子たち、来ないし」
美山さんの言葉に現実に戻されて、うん、確かに、と、たこ焼きをつまようじで刺しながら頷く。