無力な僕らの世界と終わり
……って。
いやいやいやいや。
待って、あたし。
この状況、絶対おかしいから。
と、自分に突っ込みを入れてみる。
目の前にいるのは。
片想いの相手と。
その彼女?
で、あたしは?
その片想いの相手と、そのお母さんと思われる女の人との。
……並みならぬ現場を目撃してしまって?
理解できなくて。
一人で考え込んで。
こんがらがって?
そのモヤモヤから脱するために、ここに来ていて……
たこ焼きを……
「あ、そうだ。
ちょっと、僕、本屋に探し物があるから。
章江、ここで二谷と待っててよ」
そう言って突然席を立った瑠樹亜の言葉に、あたしの思考は停止して。
(てか、瑠樹亜、もうたこ焼き食べ終わってるし)
「うん、わかった」
にっこりと微笑む美山さんに、あたしは呆気にとられながら。
(てか、今、美山さんのこと、名前で呼んだ?)
綺麗な後ろ姿は、女二人を残して行ってしまうのでした。