無力な僕らの世界と終わり
二人きり
バス停はめちゃくちゃ混んでいた。
もちろん、バスの中も。
あたしと瑠樹亜はバスの入り口付近に小さなスペースを確保して、重なり合うように立っていた。
ほぼ、ギュウギュウの車内。
瑠樹亜の筋肉質な腕が、目の前にある。
ほんの少しだけ、日に焼けていて。
綺麗なブルーの血管が浮いている。
毛は、薄い。
この腕に抱き締められたら……
柔らかく、温かいんだろうか。
それとも、固くて、冷たいんだろうか。
どちらにしても、もしそんなことになったら。
嬉しくて苦しくて。
信じられなくて。
あたしは、気を失ってしまうんだろう。
ああ。
想像しただけでドキドキする。
こんなに近くて。
鼓動の音、瑠樹亜に聞こえてしまわないだろうか。
あたしは瑠樹亜の顔を見上げてみる。
一瞬、目があって。
慌てて反らした。
やばい。
顔、赤いかな。
変な妄想がバレる。