無力な僕らの世界と終わり
あ、あれかな。
最近、流行ってるバンドの……
そんな名前の曲、なかったっけ?
「僕達の世界を、終わらせるんだ」
けれど、その後に。
そう言って真っ直ぐに前を見据える瑠樹亜の目は。
怖いくらいに、普通で。
冗談を言っているようにも、訴えているようにも見えない。
『世界を終わらせる』
それが、瑠樹亜の中では、もうとっくに決まっていることのようで。
当たり前のことのようで。
「あ……、うん」
あたしは訳もわからず、ただ、頷くことしかできなかった。
「修学旅行の時に、決行しようと思ってる」
「……うん」
「美山のグループも、僕達と同じ地域で農業体験だから」
「……あ、うん」
「自由行動の時に、落ち合うつもり」
「あ、あ、うん」
あたしの耳のすぐ近くで、囁かれる瑠樹亜の声。
それがただ、心地よくて。
………
次はー、消防署前ー
消防署前ー
ピンポーン
………
「だから、そん時にさ」
「あ、はい」
「二谷、協力して?」
「あ、は、はい」
あたしはやっぱり、頷くことしかできない。