だって好きなんだもん
週開けの月曜日。


 私はいつもどおり、授業をこなしていた。今日は3限授業があるので割と忙しい。


 私の担当は国語。現代国語が大好きだからだ。


 もちろん、古典や漢文も……昔の人の表現や言い回しには惚れぼれしちゃう。


 だから教えてる時間もすごく好き。


 響ちゃんは社会を教えている。


 授業中の響ちゃんもすごくカッコよくて……私もいっそ生徒になりたいって何度も思ったくらい。


 ワイシャツの袖を捲って、チョークの粉がかかるのも気にせず、一生懸命に授業を進めて熱く語っている。


 響ちゃんは特に歴史が好きみたい。


 質問されたりすると、すごく嬉しそうに答えている。


 そんな様子を見ちゃうとなんだか子供みたいで可愛くて、ぎゅうって抱きしめたくなるんだよね。


 ……あ、授業中だ響ちゃん。


 見つめすぎていた視線を慌てて元に戻して、私は職員室までの道のりを急いだ。


 今日はあとHRだけだっけ。


 職員室で作業を終えると、5限の終了を告げるチャイムが鳴ったから作業の手を止めて、いそいそと立ち上がった。


 そこへ丁度授業を終えて職員室に戻ってきた響ちゃんに私は呼ばれた。


 「春日井先生。ちょっといいですか?」

 「……?はい。」


 ひょこひょこと慌てて傍に行くと、


 「ちょっと運んでほしいものがあるんです。手伝っていただけますか?」


 仕事モードの微笑みで私にそう言う響ちゃん。


 きゅーーん。


 かっこいいよぉ。なんでもしたくなっちゃうよ。


 「あ、はい!」


 返事をして、社会科準備教室へとついて行くことになった。


 部屋に入ると響ちゃんはクルリと振り向いて、なぜか私の真後ろにあるドアに鍵をかけた。


 「あ、の……貝塚、先生?」


 突然二人になったからって、学校モードも早々抜けない。それなのに響ちゃんは余裕綽綽で


 「ばーか。二人の時くらいいつもみたいに呼べ」


 グイッと私は手を掴まれると、響ちゃんの腕の中に引き寄せられてぎゅっと抱きしめられた。
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