だって好きなんだもん
 私がなぜこんなに生徒からもモテちゃう響ちゃん(私は響ちゃんって呼んでるんだけど)と、お付き合いをすることになったかと言うと……


 去年、担任じゃなかった私は3年生の卒業旅行に引率でついて行ったのだ。


 その時、響ちゃんは3年3組のクラス担任だった。


 まだ学校行事は不慣れで、3年生の皆の方がしっかりしていて。


 私はみんなから「菜摘ちゃん頑張れ-」なんて励まされながら、必死で点呼をとったりしていたのだ。


 そんな私は、響ちゃんから言わせるとおっちょこちょいで鈍臭くて、隙だらけらしい。


 3泊4日の最終日の夜。


 すでにモテモテだった響ちゃんは、あちこちで生徒に告白されたりしていた――らしい。


 というのも、そのころの私にはカッコイイ先生というくらいの認識で、あまり響ちゃんを意識していなかったからだ。


 案の定、夜の就寝確認前……私がフロアへ缶ジュースを買いに行くと、どんぴしゃで浴衣姿の生徒に



 「先生好きですっ」


って言われている現場に直面した。


 若干うんざり顔をしていたように見えたけど、とりあえずこの生徒の為にも静かに通り過ぎようって決意した私。

 
 冷たい桃の缶ジュースを握りしめて、抜き足、差し足……と歩き始めたところで、




 こけた。
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